自宅でできる歯ブラシの選び方、使い方について、2回にわたり歯周病学会認定医がアドバイスをする。
歯磨き粉要らずで綺麗にする方法を、ハブラシの選び方と合わせて知っておこう。
新型コロナウイルス感染症の影響で、日頃通っているクリニックへ足を運ぶことに抵抗を感じる人が増加している。本来であれば定期検診の時期であったり、気になる症状を診察してもらいたかったりしても、外出をためらいたくなる感情は計り知れない。しかし一方で、クリニックの立場としても、いつも定期的に通院する患者の数が減少傾向にあることも事実。日頃の健康状態をチェックすることができないことを不安に思っている医師も数多くいる。
そこで今回は歯周病をテーマとし、自宅でできる対策についてを知るべく、歯周病学会認定医である熊谷歯科医院の熊谷靖司院長に話を聞いた。テレワークなどにより、自宅にいる時間が増えた人にとっては少しでもタメになるよう、2回にわたり解説する。後編の今回は、ハミガキのコツについて。(前編はこちら)
ハミガキの平均時間は1分-3分未満が大多数!
ライフメディア社のリサーチバンクが行ったアンケートによると、歯ブラシ1回あたりの平均時間は1-3分が44%と最も多く、3-5分未満が34.2%と続く。また1分未満が4.2%にもおよび、ほぼ半数の人が3分以上歯を磨いていない、という結果に。
以前は、3分磨きましょう!5分は磨きましょう!と言われていましたが、現在は時間よりも内容(質)が重要と言われています。
もちろん1、2分では問題ですが、人それぞれ口内の状況は変わってきます。例えば、歯並びの良い人と悪い人、インプラントが入っている方、入れ歯をお使いの方などなど。環境は一人ひとり異なりますので、自分にあった口腔ケアの方法を知ることが重要です。
1日の頻度に囚われず、食後「すぐ」よりも食後「しっかりと」
調査会社マクロミルのリサーチによると、一日に歯をみがく頻度として最も多い回数は2回で、次いで3回、1回と続く。昼間オフィス勤めをしている人にとってみたら、昼食後の歯ブラシをつい忘れがちになるのでは、と言った想像が容易にできる。
歯みがきを食後に行うとすると、1日3回歯みがきのタイミングがあります。テレビや雑誌では、歯みがきは食事の直後に出来るだけ早く行うと良いと報道されているのを見ることがありますが、あまり気にしなくて良いと思います。
大事なことは、しっかり歯を磨いてお口の中をいつも清潔に保つことです。
ハミガキは時間ではなく、ストロークの数を意識すべし
歯ブラシ・ハミガキに関する統計を調べてみると、ハミガキの頻度はもちろんだが、時間についても様々なデータが出てくる。しかし、熊谷院長曰く先のコメントのとおり、時間ではなく、内容(質)が重要であるという。そしてそのポイントは、歯に当てるストロークの回数とのこと。
歯科医院で歯科医や衛生士などのスタッフから、歯の磨き方を習って実践していらっしゃる方も多いことでしょう。アドバイスもそれぞれ色々だと思いますが、大事なことは、磨くべき所をしっかり磨くことです。
当院では歯みがきの方法の1つとして【20回磨き】を患者さんに実践して頂いています。
「20回磨き」の5つのポイント
- 磨くべきポイント:歯と歯ぐきの境目・歯と歯の間のすき間(写真の黄色)
- 使用する歯ブラシ:普通の固さでシンプルな形状の歯ブラシ
- 歯ブラシのあて方:磨く部位へ歯ブラシの毛先の角の部分(写真の赤線)をあてる
- 歯ブラシの動かし方:磨く部位へ歯ブラシを置いたら、軽く押し当てながら左右へ「20回揺する」
- 磨く順序を決める:右上の表→前上の表→左上の表→左上の裏→前上の裏→右上の裏。そして下も同様に
この磨き方で上下、裏表を磨きます。歯磨き粉は付けずに毛先を水で濡らして磨いて下さい。最後に歯磨き粉を付けて全体へなじませ、ゆすいで終わります。
1日1回【20回磨き】を行うだけでお口の中はピカピカになります。是非トライしてみて下さい!
2回にわたり、歯ブラシ・ハミガキをテーマに取り上げた。口内環境は、一人として同じということは全くない。これを機に、歯ブラシの選び方やハミガキのコツを学ぶというキッカケで、身近の歯科医院に足を運んでみてはいかがだろうか。
・今回教えてくれたのは

<熊谷歯科医院 院長 熊谷靖司先生>
東京都中野区鷺宮にある、歯周病の治療を得意とするクリニック。日本歯周病学会認定医。
サイト:http://www.smile888.net/