菅 新総理大臣は不妊治療に対する経済支援を目標施策の一つとして掲げているが、経済対策以外にも気になる指標が北九州市の事例から見えてきた。
北九州市と「ルナルナ」を展開するエムティーアイは15日、ことし4月からおよそ1ヶ月にわたり「不妊治療から妊娠中、子育てに関する共同意識調査」を実施し、その結果を発表した。「子育て日本一を実感できるまち」を目指す北九州市では全国平均と比較して、医療機関の身近さや通院のしやすさを筆頭に、不妊治療費の助成があることを10ポイント以上高い評価が出た。政府が総力を上げて不妊治療の支援策構築に取り組む一方で、身近に頼れる医療機関があることの重要性も問われそうだ。
エリアによって全国平均との乖離も? 20代後半から治療を始める割合が最多の北九州市民
北九州市では、妊娠を希望してから医療機関への受診までの期間は「半年以内」が最も多く、次いで「1年から2年未満」という結果が出ている。この順番は全国平均でも同様だが、「半年から1年未満」という回答は3位の全国平均に大きく差をつけて4位となっていた。さらに不妊治療の開始年齢では、全国と比較しても北九州市は「25歳から29歳」が圧倒的に多く、逆に「30歳から34歳」が全国よりも10ポイント以上少ないという。
出典:エムティーアイ
日本産科婦人科学会は、不妊を「妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性交をしているにもかかわらず1年妊娠しないケース」と定義している。また日本生殖医学会では、米国の生殖医学会の「不妊症と定義できるのは1年間の不妊期間を持つものであるが、女性の年齢が35歳以上の場合には6ヶ月の不妊期間が経過したあとは検査を開始することは認められる」という声明を引用しており、年齢が高まれば高まるほど早期に検査と治療を開始した方が良いという考えが一般的との見解だ。
通院頻度の高い女性の不妊治療を支えるのはパートナーの理解と、「身近にある医療機関」の存在
厚生労働省が提供している『不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック』によれば、女性が月経周期ごとに通院する日数の目安は一般不妊治療で2−6日、生殖補助医療で4日ー10日と1日近い通院を1−2日であるとしている。しかしその一方で、男性は治療方法に問わず女性の月経周期ごとの0日から半日と、大きな開きがある。今回発表された調査において、治療を受けた北九州市民の助けになったことの指標第一位は「医療機関の身近さ、通院のしやすさ」で、次いで「パートナーの存在」となった。
出典:エムティーアイ
なお、現在北九州市では不妊治療の費用を助成する制度があり、適用になる指定医療機関は市内に3箇所、福岡市内の8箇所など、県内全てで18箇所ある。自身の自治体における制度の有無や条件を確認することも大切だが、通院できる医療機関を調べるところからが不妊治療の第一歩ではないだろうか。
北九州市 特定不妊治療費の助成:https://www.city.kitakyushu.lg.jp/ko-katei/file_0022.html
厚生労働省 不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック:https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30l.pdf
エムティーアイ プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000771.000002943.html