病院での健康診断と同等精度の在宅ヘルスチェック受診者の2人に1人が「今年度の健診受診を控える意向」 ハルメク・ベンチャーズ調査

コロナ禍による健康診断の受診控えの傾向が数値として明らかになった。在宅で健康状態を確認できるサービスの伸長には、医療機関での感染リスクを懸念にあげているという。オンラインサービスを利用する層がどういった分布なのか、その実態も注目が集まる。

2年以内に医療機関で健康診断を受診した人のうち、2人に1人は今年度の健診受診を控える意向にあるとの調査結果が公表された。血液と尿でがんや生活習慣病のリスクチェックを在宅で行うことができるヘルスチェックサービス「おうちでドック」を提供するハルメク・ベンチャーズが、同サービス利用者287名から得たアンケートの調査回答で明らかにした。

出典:ハルメク・ベンチャーズ株式会社の調査より

アンケートでは、コロナ禍での健康診断受診の意向について、「今年は受診を控える、控えた」人が54%と全体の半数を上回った。またその理由として、「院内感染リスクがある」と挙げたのは全体の89%に上り、次いで「病院に行くまでに感染リスクがある」「周りに感染させるリスクがある」と続いている。

「おうちでドック」は、2017年11月に提供を開始した、在宅でのヘルスチェックサービス。在宅で血液を採取し郵送することでがんや糖尿病などの生活習慣病のリスクチェックをすることができ、希望者全員に対しては医師が電話解説を無料で行うといったサービスを提供している。ことし4月末現在で、発売以来2万1000人の申し込みを受け付けたという。

おうちでドック:https://dock.ouchide.biz/
ハルメクベンチャーズ:http://ventures.halmek.co.jp/

産婦人科で国内初のオンライン相談制度を静岡県富士市の医院が導入 相談料無料

オンライン診療の一歩手前となるオンライン相談のシステムを導入する医療機関が増えている。コロナ禍を契機としたオンライン診療の実現に向けた取り組みが全国各地でみられる中、静岡県内の産婦人科で運用が始まった。

静岡県富士市の中島産婦人科医院は今月1日から、患者向けのオンライン相談サービスの提供を開始した。Kids Republic(東京・千代田)の「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」を活用する。産婦人科医、助産師、小児科医による相談は1回あたり10分で、費用は無料。同医院で受診している患者が対象となる。

中島産婦人科医院(出典:医院サイト

オンライン相談サービスを提供するKids Republicは2016年に創業。小児科医が相談に応じる「小児科オンライン」を立ち上げ、2018年には妊産婦を対象とする「産婦人科オンライン」の提供を開始した。富士通やバイドゥ、小田急電鉄などの企業が福利厚生として導入し、自治体としても岡山市が2019年7月の試験導入を皮切りに、このコロナ禍においては奈良県三宅町、広島県府中市など5つの自治体が運用を始めた。このほか三井ダイレクト損保の契約者向けサービスとしても利用されており、そのニーズは拡大傾向にある。

医療機関の導入では、岩手県立大船渡病院や横浜市青葉区のファミリークリニックあざみ野で始まっており、今回産婦人科医院の採用は全国で初となる。不要不急の外来受診減少と、コロナ禍による感染リスク軽減の双方の目的を併せ持つオンライン相談ツールの普及は今後も広がっていくとみられる。

産婦人科オンライン:https://obstetrics.jp
小児科オンライン:https://syounika.jp
中島産婦人科医院:http://nakajima-sanfujinka.com/

渋谷区松濤の保育園で医療的ケア児の預かり 区内初となる受け入れを開始 フローレンスが研修

渋谷区松濤にある大向保育園で、渋谷区内では初となる医療的ケア児の受け入れを開始する。都内では他にも港区の元麻布保育園など。
「医療的ケア児」の受け入れに対する施策に積極的な栃木県宇都宮市、埼玉県朝霞市などがある。

「訪問型病児保育」「障害児保育」「小規模保育」などを手掛けるNPO法人フローレンスは12日、渋谷区内の認定保育園である大向保育園(読み:おおむかい)で医療的ケア児の受け入れを開始すると発表した。受け入れ人数は調整するとのこと。ことし6月にフローレンスによる保育士・看護師向けの研修を実施し、今回の実現につながった。

出典:フローレンス

渋谷区のこども家庭部保育課長は、医療的ケア児の受け入れの際に必要なことは、「安全にお預かりできる環境や設備等のハード面」と、「職員における障害児保育に対する知識の蓄積、心構え等のソフト面」の準備であるとする。特にソフト面における不安の解消にむけ、フローレンスによる職員向けの研修を実施したという。

フローレンスは都内6箇所に「障害児保育園ヘレン」の事業と、「障害児訪問保育アニー」、医療的ケアシッターの「ナンシー」の3事業を展開する。ヘレンでは保護者向けに受け入れに関する説明会をオンラインで実施しており、アニーでは入園選考を受けることができる。

大向保育園 入園申し込み:渋谷区  保育課入園相談係(03-3463-2492)
フローレンス 障害児保育園ヘレン:https://helen-hoiku.jp/
障害児訪問保育アニー・医療的ケアシッターナンシー:https://specialneeds.florence.or.jp/service/

三越伊勢丹の女性従業員向けに検診の理解向上セミナーを開催 ファムメディコ

企業向けの疾病予防コンサルティングが増加している。女性従業員の多い小売業の一つでもある百貨店でも、導入に向けた動きが始まっているようだ。

医療コンサルティングなどを行うファムメディコは10日、三越伊勢丹の女性従業員50名に向けたオンラインセミナーを開催し、子宮・大腸・乳房の各種検査そのものの認知向上と病気に関する基礎知識についてのレクチャーを行った。コロナ禍による受診控えが健康診断にも影響しているとされる中で、企業が従業員向けに情報と機会を提供する場が増えていく流れは今後も続くと見られる。

ファムメディコが936人に行った調査によると、生理痛・PMS・月経過多といった月経随伴症状を抱えている人の6割以上が仕事や生活に支障が出ており、さらにその症状を抱えているにもかかわらず9割が普段通りの仕事をするという結果が出たという。

出典:ファムメディコ

2018年4月現在、三越伊勢丹の従業員数は7798人で、そのうち女性が5181人と6割を超える。今回実施したオンラインセミナーへの参加者50人の内訳は明らかになっていないが、全体の1%にも及んでおらず、今後も継続的に行っていく必要がありそうだ。

ファムメディコはことし9月に設立。ライフスタイルの変化による婦人科疾患の増加、疾病に関するリテラシーの低さ、働きやすい就労環境の未整備といった課題解決策として、コンサルティングや企画、リサーチなどを行うことを目的としている。さらに子宮・大腸・乳房を対象とした検査の総称としての「YOU健診」を提唱し、その啓発活動をしていくという。

出典:ファムメディコ

ファムメディコ:https://www.f-med.jp/

オンライン診療の成否はどこに? 禁煙外来の診療実績が2万回超え 健保加入者が500万人に コロナ禍による家庭内圧力も影響か

オンライン診療への動きが本格化している中、禁煙外来の受診件数実績が公表された。オンラインで受診しても良いと思う動機は、一体どこにあるのだろうか。またその診療科目に違いはあるのだろうか。

オンライン診療などの健康支援プログラムを提供しているリンケージ(東京都中央区)は先月30日、オンライン禁煙プログラムを利用した診療回数が累計で2万回に達し、契約健康保険組合の加入者が500万人に到達したことを発表した。コロナ禍でクリニックへの物理的受診を控える患者に対して規制緩和がされたオンライン受診の制度に加え、在宅時間が増えて喫煙の影響を家庭内に及ぼしやすい背景から、受診のきっかけとなっている可能性が考えられる。

出典:Photo AC

リンケージは2017年から禁煙外来のオンライン診療を実施。禁煙外来のほか、特定保健指導、糖尿重症化予防、女性の健康の計4つをサービスとして提供しており、135の組合に導入されている実績を持つ。


9月17日には田村厚生労働大臣がオンライン診療の恒久化に向けた検討を進めるという考えを表明しており、オンライン診療のニーズは高まるものと見られている。また1週前の9月10日には、LINEが11月からオンライン診療サービス「LINEドクター」の提供を開始することを発表済みだ。LINEでは現在、医療機関向けの事前登録を受け付け中だが、禁煙外来など特定の診療科目に特化した医療機関の登録が増加するのか、あるいは多岐にわたる診療科目なのか、その動向に注目したい。

LINEドクターの仕組み(出典:LINE)

リンケージ:https://linkage-inc.co.jp/
LINEドクター:https://linehealthcarecorp.com/ja/lp/common/recruit/clinic-202009

頭痛であることを“ゆるく共有する”アプリ「頭痛仲間」 β版がリリース

他人に伝えづらい頭痛の自覚症状を、アプリ上で共有することでストレスを軽減させることを狙いとしたサービス開発が進んでいる。共有することも一つの策だが、医療機関を受診することも大切な手段であることをお忘れなく。

頭痛に特化した健康管理アプリ「頭痛仲間」のβ版が先月27日にリリースされた。現在はウェブサイト上で利用できる。「積読ハウマッチ」を提供している合同会社めもらば(東京都練馬区)が開発した。頭痛の有無の記録に加え、当アプリを使用している他のユーザーの中に頭痛の自覚症状がある場合、そのユーザー数がアプリ上に表示される。登録ユーザー同士で頭痛の症状を認識し合うことで、精神的ストレスを軽減する狙いだ。

出典:めもらば

頭痛仲間はTwitterの認証によりアカウント登録をすることができる。現在地や希望する地点を登録することで、そのエリアの天気予報と気圧が表示される。ユーザーが自ら登録する頭痛症状の有無と気圧の変化とを可視化することができる。ただし、頭痛の要因は必ずしも気圧だけに限らないことに留意されたい。
現在提供されているβ版では、頭痛状況の記録と全体の統計、気圧の変化のグラフ、天気情報を表示することが可能となっている。正式リリースでは「ひとことメモや頭痛以外の体調の記録」と「コメント投稿によるゆるいソーシャル機能」を搭載するという。まだ正式リリースのスケジュールは公開されていない。

出典:めもらば

頭痛仲間
β版ページ:http://zutsuu.memory-lovers.com/
Twitter:@zutsuu_friends

母子手帳アプリ「母子モ」大分市など12市町村での提供を開始 九州を中心に拡充進む

母子手帳アプリ「母子モ」の導入が進んでいる。10月に入り全国で12の市町村が提供を開始した。経済対策ではカバーしきれないソフトの部分をアプリで補う、その結果が導入数に現れている。

エムティーアイが提供する母子手帳アプリ「母子モ」が、今月より新たに12の市町村で導入された。妊娠・出産・育児に関する保健師からのアドバイスを受け取ることができたり、自治体が配信する地域情報なども提供される。「母子モ」を用いることで、母子健康手帳を「保護者の記録」としてだけでなく、「育児日記」としての役割を持たせることが可能だ。

10月1日発表分 導入自治体とアプリ名一覧(編集部作成)

今回発表となった12の市町村では、いずれも独自の子育て施策を行ってきており、子育て世代への積極支援の一環とみられる。例えば熊本県玉名郡玉東町では、チャイルドシートの3ヶ月無料貸し出しや給食費の補助、さらにインフルエンザ予防接種は0歳から中学3年生まで全額助成するだけでなく、その保護者も1000円の補助を行うなど、経済支援策を次々と行っている。同日から提供開始をしたオンライン相談サービスでは、町の職員や助産師、保健師に対して妊娠や育児に関する相談ができるようになるため、ソフト面での支援強化が期待される。

「母子モ」アプリ概要
月額料金(税込):無料
アクセス方法:
<アプリ>App Store、Google Playで『母子モ』で検索(対応OS: Android 4.2以上、iOS 9.0以上)
<Webブラウザ>https://www.mchh.jp にアクセス

EPARKがインフルエンザ予防接種のオンライン予約受付を開始 全国5100のクリニックが登録

10月に入り、新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念されるなか、インフルエンザの予防接種のオンライン予約が始まった。クリニックでの待ち時間が感染につながると危惧する人も少なくない。インターネットサービスを賢く利用し、感染リスク軽減に努めたい。

全国の医院・クリニックの検索・予約受付・口コミのサイト「EPARKクリニック・病院」を展開するEPARKは1日から、インフルエンザ予防接種のオンライン予約の受付を開始した。新型コロナの感染拡大防止の観点から受診控えが進む中、インターネットで事前に申し込んでおくことでクリニックでの滞在時間を減らすことがねらい。同サイトで予約・接種をしたユーザーにはポイント特典も付与される。

出典:EPARK

従来はEPARKの登録会員のみ予約を受け付けていたが、今回始まったインフルエンザ予防接種に関する予約については会員の家族も同時に受け付ける。この冬に新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスが同時に感染拡大した場合、医療機関が逼迫する可能性を鑑み、積極的な予防接種を広く訴えていく。

定期接種対象者とされる65歳以上の高齢者の接種が優先される今月は、26日以降に一般の接種希望者が急増するとみられ、同社が行ったアンケートでも、クリニック内での待ち時間が感染リスクにつながると懸念するユーザーは8割にのぼることがわかっている。

出典:EPARK

EPARKクリニック・病院:https://fdoc.jp/

正しく不妊治療のことを学ぶ 専門家による企業向けのオンラインセミナーを開始 プレ・マタハラを防ぐために

「企業が」不妊治療に対する正しい理解をする、という視点のオンラインセミナーが始まる。福利厚生の一環としてはもちろん、正しい相互理解の促進による従業員エンゲージメント向上が期待される。

不妊治療のデータ検索サービス「cooromi」を提供するvivolaは、企業向けに不妊治療セミナーを始める。不妊治療と仕事の両立をサポートするNPO法人フォレシアと、胚培養士の3者が講演する。企業、不妊治療患者、医療現場のそれぞれの観点から理解啓発を行い、従業員への福利厚生をはじめとする制度設計に役立ててもらうことがねらい。

登壇者一覧。出典:vivola

cocoromiは体外受精で妊娠した妊産婦のデータに基づく、統計的な治療検索サービスで、ウェブとアプリの両方から利用することができる。主に治療にかかる費用と期間、体外受精そのものの概要などを公開しており、治療を検討している人にとっての参考指標になっている。同社が体外受精経験のある夫婦300組へ実施したアンケートでは、治療方法を理解していないまま治療を続けていたと回答した夫婦が7割にも及んでいるといい、高額医療費が発生するにもかかわらず正しい理解が及んでいない可能性が高い。

NPO法人Fineの2017年の調査によると、不妊治療をきっかけに勤め先を退職する事例が5人に1人の割合でいることがわかっている。同法人の松本 亜樹子理事長は神奈川県への寄稿文の中で、「不妊治療は女性の生理周期に合わせて注射や投薬が行われるため、突発的な通院が必要で、先の予定が立てられない」「前回同様の治療を行なっていても、その時の体調により、ホルモン剤の効き目が変わってくるので、頻繁な通院も必要」と述べており、職場の理解なしに不妊治療を行うことは現実的にとても高いハードルであることがわかる。

フォレシアでは、完全匿名で相談できるLINEチャットボットのサービスも展開しており、不妊治療の専門家が常駐し、24時間対応している。概要は以下のとおり。

LINE完全匿名チャットボットサービスの概要。出典:vivola

オンラインセミナー問い合わせ(メール):contact@forecia-jp.com
NPO法人フォレシア:https://forecia-total-support.com/