母子手帳アプリ「母子モ」大分市など12市町村での提供を開始 九州を中心に拡充進む

母子手帳アプリ「母子モ」の導入が進んでいる。10月に入り全国で12の市町村が提供を開始した。経済対策ではカバーしきれないソフトの部分をアプリで補う、その結果が導入数に現れている。

エムティーアイが提供する母子手帳アプリ「母子モ」が、今月より新たに12の市町村で導入された。妊娠・出産・育児に関する保健師からのアドバイスを受け取ることができたり、自治体が配信する地域情報なども提供される。「母子モ」を用いることで、母子健康手帳を「保護者の記録」としてだけでなく、「育児日記」としての役割を持たせることが可能だ。

10月1日発表分 導入自治体とアプリ名一覧(編集部作成)

今回発表となった12の市町村では、いずれも独自の子育て施策を行ってきており、子育て世代への積極支援の一環とみられる。例えば熊本県玉名郡玉東町では、チャイルドシートの3ヶ月無料貸し出しや給食費の補助、さらにインフルエンザ予防接種は0歳から中学3年生まで全額助成するだけでなく、その保護者も1000円の補助を行うなど、経済支援策を次々と行っている。同日から提供開始をしたオンライン相談サービスでは、町の職員や助産師、保健師に対して妊娠や育児に関する相談ができるようになるため、ソフト面での支援強化が期待される。

「母子モ」アプリ概要
月額料金(税込):無料
アクセス方法:
<アプリ>App Store、Google Playで『母子モ』で検索(対応OS: Android 4.2以上、iOS 9.0以上)
<Webブラウザ>https://www.mchh.jp にアクセス

不妊治療でのしかかる重圧 最善手は医療機関の「身近さ・通院しやすさ」にあり? 北九州市と企業が共同調査発表

菅 新総理大臣は不妊治療に対する経済支援を目標施策の一つとして掲げているが、経済対策以外にも気になる指標が北九州市の事例から見えてきた。

北九州市と「ルナルナ」を展開するエムティーアイは15日、ことし4月からおよそ1ヶ月にわたり「不妊治療から妊娠中、子育てに関する共同意識調査」を実施し、その結果を発表した。「子育て日本一を実感できるまち」を目指す北九州市では全国平均と比較して、医療機関の身近さや通院のしやすさを筆頭に、不妊治療費の助成があることを10ポイント以上高い評価が出た。政府が総力を上げて不妊治療の支援策構築に取り組む一方で、身近に頼れる医療機関があることの重要性も問われそうだ。

エリアによって全国平均との乖離も 20代後半から治療を始める割合が最多の北九州市民

北九州市では、妊娠を希望してから医療機関への受診までの期間は「半年以内」が最も多く、次いで「1年から2年未満」という結果が出ている。この順番は全国平均でも同様だが、「半年から1年未満」という回答は3位の全国平均に大きく差をつけて4位となっていた。さらに不妊治療の開始年齢では、全国と比較しても北九州市は「25歳から29歳」が圧倒的に多く、逆に「30歳から34歳」が全国よりも10ポイント以上少ないという。

出典:エムティーアイ

日本産科婦人科学会は、不妊を「妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性交をしているにもかかわらず1年妊娠しないケース」と定義している。また日本生殖医学会では、米国の生殖医学会の「不妊症と定義できるのは1年間の不妊期間を持つものであるが、女性の年齢が35歳以上の場合には6ヶ月の不妊期間が経過したあとは検査を開始することは認められる」という声明を引用しており、年齢が高まれば高まるほど早期に検査と治療を開始した方が良いという考えが一般的との見解だ。

通院頻度の高い女性の不妊治療を支えるのはパートナーの理解と、「身近にある医療機関」の存在

厚生労働省が提供している『不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック』によれば、女性が月経周期ごとに通院する日数の目安は一般不妊治療で2−6日、生殖補助医療で4日ー10日と1日近い通院を1−2日であるとしている。しかしその一方で、男性は治療方法に問わず女性の月経周期ごとの0日から半日と、大きな開きがある。今回発表された調査において、治療を受けた北九州市民の助けになったことの指標第一位は「医療機関の身近さ、通院のしやすさ」で、次いで「パートナーの存在」となった。

出典:エムティーアイ

なお、現在北九州市では不妊治療の費用を助成する制度があり、適用になる指定医療機関は市内に3箇所、福岡市内の8箇所など、県内全てで18箇所ある。自身の自治体における制度の有無や条件を確認することも大切だが、通院できる医療機関を調べるところからが不妊治療の第一歩ではないだろうか。

北九州市 特定不妊治療費の助成:https://www.city.kitakyushu.lg.jp/ko-katei/file_0022.html

厚生労働省 不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック:https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30l.pdf

エムティーアイ プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000771.000002943.html