オンライン診療の成否はどこに? 禁煙外来の診療実績が2万回超え 健保加入者が500万人に コロナ禍による家庭内圧力も影響か

オンライン診療への動きが本格化している中、禁煙外来の受診件数実績が公表された。オンラインで受診しても良いと思う動機は、一体どこにあるのだろうか。またその診療科目に違いはあるのだろうか。

オンライン診療などの健康支援プログラムを提供しているリンケージ(東京都中央区)は先月30日、オンライン禁煙プログラムを利用した診療回数が累計で2万回に達し、契約健康保険組合の加入者が500万人に到達したことを発表した。コロナ禍でクリニックへの物理的受診を控える患者に対して規制緩和がされたオンライン受診の制度に加え、在宅時間が増えて喫煙の影響を家庭内に及ぼしやすい背景から、受診のきっかけとなっている可能性が考えられる。

出典:Photo AC

リンケージは2017年から禁煙外来のオンライン診療を実施。禁煙外来のほか、特定保健指導、糖尿重症化予防、女性の健康の計4つをサービスとして提供しており、135の組合に導入されている実績を持つ。


9月17日には田村厚生労働大臣がオンライン診療の恒久化に向けた検討を進めるという考えを表明しており、オンライン診療のニーズは高まるものと見られている。また1週前の9月10日には、LINEが11月からオンライン診療サービス「LINEドクター」の提供を開始することを発表済みだ。LINEでは現在、医療機関向けの事前登録を受け付け中だが、禁煙外来など特定の診療科目に特化した医療機関の登録が増加するのか、あるいは多岐にわたる診療科目なのか、その動向に注目したい。

LINEドクターの仕組み(出典:LINE)

リンケージ:https://linkage-inc.co.jp/
LINEドクター:https://linehealthcarecorp.com/ja/lp/common/recruit/clinic-202009

正しく不妊治療のことを学ぶ 専門家による企業向けのオンラインセミナーを開始 プレ・マタハラを防ぐために

「企業が」不妊治療に対する正しい理解をする、という視点のオンラインセミナーが始まる。福利厚生の一環としてはもちろん、正しい相互理解の促進による従業員エンゲージメント向上が期待される。

不妊治療のデータ検索サービス「cooromi」を提供するvivolaは、企業向けに不妊治療セミナーを始める。不妊治療と仕事の両立をサポートするNPO法人フォレシアと、胚培養士の3者が講演する。企業、不妊治療患者、医療現場のそれぞれの観点から理解啓発を行い、従業員への福利厚生をはじめとする制度設計に役立ててもらうことがねらい。

登壇者一覧。出典:vivola

cocoromiは体外受精で妊娠した妊産婦のデータに基づく、統計的な治療検索サービスで、ウェブとアプリの両方から利用することができる。主に治療にかかる費用と期間、体外受精そのものの概要などを公開しており、治療を検討している人にとっての参考指標になっている。同社が体外受精経験のある夫婦300組へ実施したアンケートでは、治療方法を理解していないまま治療を続けていたと回答した夫婦が7割にも及んでいるといい、高額医療費が発生するにもかかわらず正しい理解が及んでいない可能性が高い。

NPO法人Fineの2017年の調査によると、不妊治療をきっかけに勤め先を退職する事例が5人に1人の割合でいることがわかっている。同法人の松本 亜樹子理事長は神奈川県への寄稿文の中で、「不妊治療は女性の生理周期に合わせて注射や投薬が行われるため、突発的な通院が必要で、先の予定が立てられない」「前回同様の治療を行なっていても、その時の体調により、ホルモン剤の効き目が変わってくるので、頻繁な通院も必要」と述べており、職場の理解なしに不妊治療を行うことは現実的にとても高いハードルであることがわかる。

フォレシアでは、完全匿名で相談できるLINEチャットボットのサービスも展開しており、不妊治療の専門家が常駐し、24時間対応している。概要は以下のとおり。

LINE完全匿名チャットボットサービスの概要。出典:vivola

オンラインセミナー問い合わせ(メール):contact@forecia-jp.com
NPO法人フォレシア:https://forecia-total-support.com/

兵庫県立粒子線医療センターがオンラインセカンドオピニオンを導入 予約受付始まる

オンラインによるセカンドオピニオンを導入する医療機関が増加しており、地域を選ばずに専門医に相談できる環境が浸透しつつある。一方で、診察費は医療機関ごとに大きな開きも見られる。

兵庫県たつの市にある県立粒子線医療センターが、リーズンホワイ社の提供する「Findme」を採用し、セカンドオピニオンをオンラインで始めた。きょう23日から予約受付を開始した。受診料は30分16,500円で、以降15分ごとに3,950円の追加料金が発生する。通院時の新型コロナウイルス感染リスク軽減と、患者への治療に関する選択肢の広がりを目的としている。

出典:リーズンホワイ

保険適用となった先進医療、治療費総額はおよそ300万円

粒子線治療は、2018年に保険適用となった放射線治療の一種。中期から進行期の前立腺がんでは、手術療法よりも治療効果が高いという解析結果が出ているという。同センターで粒子線治療を受ける場合、288万3,000円の照射技術料がかかるが、それ以外の診療(診察・入院・投薬など)は医療保険の対象のため総額でも300万円程度だ。

出典:リーズンホワイ

筑波大学附属病院でも導入済みも、診察料は3倍

同センターが導入した「Findme」は他にも筑波大学附属病院陽子線治療センターでもすでに使用されており、オンラインによるセカンドオピニオン診断をを30分46,200円(税込)、以降15分ごとに2,970円(税込)の追加料金で利用することができる。

兵庫県立粒子線医療センター:https://www.hibmc.shingu.hyogo.jp/
Findmeサービスサイト:https://www.findme.life/
筑波大学附属病院陽子線治療センター オンライン・セカンドオピニオン受付:https://www.findme.life/so/hospital/tsukuba/

オンライン認知機能検査が500円で 50歳以上を対象に年末まで実施

きょう9月21日は敬老の日・アルツハイマーデー。オンラインで認知症の早期発見につながる検査を受けられるサービスが、ワンコインへ値下げするキャンペーンを始めた。

キャピタルメディカが提供しているオンライン認知機能検査サービス「BI-NOU」(ビノウ)は、ことし12月25日まで初回利用料を500円(税別)に値下げするキャンペーンを実施している。世界アルツハイマーデーと敬老の日の節目に合わせスタートした。検査にかかる時間はおよそ15分で、6つの項目ごとに認知機能の判定とアドバイスを受けることができる。

サービスサイト画面(出典:キャピタルメディカ)

「BI-NOU」は、キャピタルメディカが東京都健康長寿医療センターの研究員と東京大学大学院の教授とともに共同開発した、産学連携による認知機能検査。同社は軽度認知障害の早期発見や認知症発症リスク軽減を目的とした運動プログラム「アタマカラダ!ジム」を通して、その啓発に取り組んでおり、同社の運営する介護施設「クラーチ」を中心に導入してきた。

検査イメージ(出典:キャピタルメディカ)

【BI-NOU初回割引キャンペーン】
価格:500円(税別)*クレジット決済のみ
期間:9月18日(金)〜12月25日(金)
対象:50歳以上
内容:15分の認知機能検査・認知機能チェック結果レポート
(認知機能チェック:視空間機能・注意機能・実行機能・記憶機能・言語機能・社会的認知機能)
申込サイト:https://capimedi.com/BI-NOU/

不妊治療でのしかかる重圧 最善手は医療機関の「身近さ・通院しやすさ」にあり? 北九州市と企業が共同調査発表

菅 新総理大臣は不妊治療に対する経済支援を目標施策の一つとして掲げているが、経済対策以外にも気になる指標が北九州市の事例から見えてきた。

北九州市と「ルナルナ」を展開するエムティーアイは15日、ことし4月からおよそ1ヶ月にわたり「不妊治療から妊娠中、子育てに関する共同意識調査」を実施し、その結果を発表した。「子育て日本一を実感できるまち」を目指す北九州市では全国平均と比較して、医療機関の身近さや通院のしやすさを筆頭に、不妊治療費の助成があることを10ポイント以上高い評価が出た。政府が総力を上げて不妊治療の支援策構築に取り組む一方で、身近に頼れる医療機関があることの重要性も問われそうだ。

エリアによって全国平均との乖離も 20代後半から治療を始める割合が最多の北九州市民

北九州市では、妊娠を希望してから医療機関への受診までの期間は「半年以内」が最も多く、次いで「1年から2年未満」という結果が出ている。この順番は全国平均でも同様だが、「半年から1年未満」という回答は3位の全国平均に大きく差をつけて4位となっていた。さらに不妊治療の開始年齢では、全国と比較しても北九州市は「25歳から29歳」が圧倒的に多く、逆に「30歳から34歳」が全国よりも10ポイント以上少ないという。

出典:エムティーアイ

日本産科婦人科学会は、不妊を「妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性交をしているにもかかわらず1年妊娠しないケース」と定義している。また日本生殖医学会では、米国の生殖医学会の「不妊症と定義できるのは1年間の不妊期間を持つものであるが、女性の年齢が35歳以上の場合には6ヶ月の不妊期間が経過したあとは検査を開始することは認められる」という声明を引用しており、年齢が高まれば高まるほど早期に検査と治療を開始した方が良いという考えが一般的との見解だ。

通院頻度の高い女性の不妊治療を支えるのはパートナーの理解と、「身近にある医療機関」の存在

厚生労働省が提供している『不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック』によれば、女性が月経周期ごとに通院する日数の目安は一般不妊治療で2−6日、生殖補助医療で4日ー10日と1日近い通院を1−2日であるとしている。しかしその一方で、男性は治療方法に問わず女性の月経周期ごとの0日から半日と、大きな開きがある。今回発表された調査において、治療を受けた北九州市民の助けになったことの指標第一位は「医療機関の身近さ、通院のしやすさ」で、次いで「パートナーの存在」となった。

出典:エムティーアイ

なお、現在北九州市では不妊治療の費用を助成する制度があり、適用になる指定医療機関は市内に3箇所、福岡市内の8箇所など、県内全てで18箇所ある。自身の自治体における制度の有無や条件を確認することも大切だが、通院できる医療機関を調べるところからが不妊治療の第一歩ではないだろうか。

北九州市 特定不妊治療費の助成:https://www.city.kitakyushu.lg.jp/ko-katei/file_0022.html

厚生労働省 不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック:https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30l.pdf

エムティーアイ プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000771.000002943.html

病院長によるセカンドオピニオン外来をオンラインで 週2日実施 16日から44,000円で

国立循環器病研究センターは14日、オンラインによるセカンドオピニオン外来の予約受付を開始。外来診療はあす16日からで、毎週水曜と木曜に実施する。病院長自らが担当し、料金は1回あたり税込み44,000円。

国立循環器病研究センター(以下、国循)は14日、メドレーの提供するオンライン診療システム「CLINICS」を用いて、オンラインによるセカンドオピニオン外来の予約受付を開始した。外来診療はあす16日からで、毎週水曜と木曜に実施する。飯原弘二 病院長が担当し、料金は1回あたり税込み44,000円。

セカンドオピニオン外来の診察イメージ(画像:国立循環器病研究センター)

診察予約のためには、メドレーが提供する「CLINICS」を経由する必要がある。Webからアカウント登録をするか、スマートフォン上でアプリをダウンロードすることで手続きをすることができる(CLINICS:https://clinics.medley.life/)。ただし、紹介状などの書類はデータ送付ではなく郵送する必要があるので注意したい。診察後の支払いは、アカウント上に登録されたクレジットカードで行われる。

脳卒中と循環器病の制圧と対策に取り組んでいる国循が、遠方にいてもセカンドオピニオンを希望する患者に対応するための一環として始める。平成28年の厚労省の調査によると、要介護の原因となる疾病のうち脳卒中と循環器病が実に22.2%もの割合を占めており、1位の認知症(24.8%)に迫る勢いだ。

受付・お問い合わせ先(患者・家族向け)
国立循環器病研究センター 専門医療連携室
電話:06-6170-1361(直通)
受付時間:9:00から16:00(平日)

国立循環器病研究センター:http://www.ncvc.go.jp/

メドレー:https://www.medley.jp/