【歯科医に聞きました】歯ブラシ1本でできる、歯周病対策とは?前編

自宅でできる歯ブラシの選び方、使い方について、2回にわたり歯周病学会認定医がアドバイスをする。

新型コロナウィルス感染症の影響で、日頃通っているクリニックへ足を運ぶことに抵抗を感じる人が増加している。本来であれば定期検診の時期であったり、気になる症状を診察してもらいたかったりしても、外出をためらいたくなる感情は計り知れない。しかし一方で、クリニックの立場としても、いつも定期的に通院する患者の数が減少傾向にあることも事実。日頃の健康状態をチェックすることができないことを不安に思っている医師も数多くいる。

そこで今回は歯周病をテーマとし、自宅でできる対策についてを歯周病学会認定医である熊谷歯科医院の熊谷靖司院長に話を聞いた。テレワークなどにより自宅にいる時間が増えた人にとっては少しでもタメになるよう、歯ブラシの選び方と使い方について、2回にわたり解説する。

歯ブラシの際にまず気をつけるべきは交換の頻度。「月に1回は交換を!」

インターネットの調査によると、歯ブラシを交換するタイミングは3ヶ月に1回という回答がトップという結果が出ている(2017年 勝手にランキング)。これについて、熊谷院長は警鐘を鳴らす。

歯ブラシが磨ける状態か?2ヶ月も3ヶ月も同じ歯ブラシを使い続けてしまっている方が時々いらっしゃいます。毛先が開いていなくても、ヘタっていなくても必ず1ヶ月に一回は交換しましょう。そしてハブラシを購入する際には、1、2本では無く、10本くらいまとめて購入するのを勧めます。ダメになってから買おうと思ってもついつい忘れがちです

歯ブラシの交換時期に気付いてもストックがなく、慌てて買いに行くこともよくあるはず。ではなぜ1ヶ月に1回という頻度なのか?その理由を、熊谷院長は次のように説明する。

9月にパッケージデザインをリニューアルした、ライオンの歯ブラシ「システマ」シリーズ

どんなに優れた歯ブラシでも、効力は1ヶ月でなくなってしまう

熊谷院長によれば、ハブラシの毛の部分に使われいる材質は大きく分けてナイロン製と飽和ポリエステル樹脂の2種類あるという。

●ナイロン製

市販のハブラシの多くはナイロン製が使われています。ナイロンは安価で大量生産に向いていますが、歯科医院専売のハブラシに比べ、毛の耐久性が低くコシが弱いのが特徴です

●飽和ポリエステル樹脂

歯科医院専売の歯ブラシに多く使用されています。しなりと柔らかさが特徴で、耐久性に優れています。またナイロン製に比べて使用後の水分の乾燥が早く、清潔に保てるように出来ています。しかし、飽和ポリエステル樹脂の歯ブラシでも1ヶ月使い続けるとコシが無くなり、歯面に毛先が当たっても汚れを落とすことが出来なくなります。一見毛先が開いていないように見えても、しなりの無い歯ブラシでいくら磨いても、磨いていない事と同じになってしまいます

歯ブラシの硬さも人それぞれ。正しい選び方は歯科医に教えてもらうが吉

毛先のしなり(コシ)が重要だということが、お分かりいただけただろうか。とすると、歯ブラシの硬さはどうだろう。

歯ブラシの硬さですが、「ふつう」か「やわらかめ」を使って頂き、「かため」は使わないようにしましょう。そして使い方ですが、磨く際のストロークが大きいと歯と歯の間に毛先が届かず磨き残しが出来てしまいますので、細かく揺する感じで磨くと良いと思います

歯ブラシの交換時期は一月に1回、つまり1年に最低でも12本は用意しておく必要があることがご理解いただけただろうか。ところで、歯ブラシの硬さにも好みはある。大きく3種類、「かため」、「ふつう」そして「やわらかめ」だ。実際にどれを選べば良いのか、迷う人も多いはず。

お口の中の環境や磨き心地など、歯ブラシ選びに迷う方も多いと思います。是非、かかりつけの歯科医院で担当の歯科衛生士と自分にあった歯ブラシを探してみてください

次回の後編では、歯みがきの効果的な方法について紹介する。

・今回教えてくれたのは

<熊谷歯科医院 院長 熊谷靖司先生>

東京都中野区鷺宮にある、歯周病の治療を得意とするクリニック。日本歯周病学会認定医。

サイト:http://www.smile888.net/